太陽炉とエントロピー

太陽炉とエントロピー

静岡や神奈川の人なら行ったことがあるかもしれないけど、伊豆に韮山反射炉という太陽炉がある。

ウィキから引用
1840年天保11年)のアヘン戦争に危機感を覚えた韮山代官江川英龍は海防政策の一つとして、鉄砲を鋳造するために必要な反射炉の建設を建議した。韮山反射炉は、1853年(嘉永6年)の黒船来航を受けて、江戸幕府直営の反射炉として築造が決定された。」

要は、太陽光を集光した高温を利用して鉄など溶解し、鉄砲などを作るのに用いた工業施設、だそうだ。

だれもが子供の頃にレンズで太陽光を1点に集光する実験をしたと思う。
太陽炉というのは、それを大がかりにしただけのものだ。

ここで疑問が生じる。

温度を上げるためには、たくさんのレンズやたくさんの鏡を使って、なるべくたくさんの太陽の光(おおざっぱな表現ですみません)を集めれば好きなだけ高い温度が得られるのではないだろうか?という疑問。

答えはNOなのだ。仮に、東京ドームくらい大きいレンズを使って太陽光を集光しても、温度の上限がある。

上限は、太陽の表面温度6000℃だ。

東京ドームも超えて東京都1つくらいの大きなレンズを作っても6000℃を超えることはできない。

例えを変えよう。
冷蔵庫にある卵をゆで卵にしたい。冷えた卵を温めるために、41℃のお風呂のお湯を卵にかける。ゆで卵にしたいからどんどん風呂の湯をかける。
直感でわかるように、これを繰り返しても卵の温度は風呂の温度41℃よりも高くはならず、ゆで卵にはならない。

6000℃の光をどんなに集光しても6000℃を超えた温度にはならないのである。

f:id:mathrabbi:20181215141248j:plain