イコールの意味

自分の経験を顧み、物理・数学系の本を読み進めるのに大事なことを書いてみる。専門書はほとんどが英文で書かれているけど、高校のときに英語が苦手だったからといって心配することは全くない。専門書の英語は非常にロジカルで平明であり英文理解に苦しむことは皆無である。辞書もほぼ不要。
問題は数式の理解である。
数式は、不等号でなく等号で書かれた等式が大半以上を占める。だから等式の意味について書いてみる。

等式には大きく3つの種類がある。

まずは、恒等式
(A+B)^2=A^2+2AB+B^2、という等式を見ると、この等式はAとBがどのような値であろうといつでも成立する。つまり、この等式は何も新しいことを示しているものではない。左辺と右辺がいつでも成立する、というのが恒等式。ある関数を微分して等号でつないでどんどん計算していく式も恒等式である。左辺と右辺に変わりはない。

これに対して、方程式というのがある。
3x+2=4
これはいつでも成立するのではなく、ある特定のxのときに成立する等式である。つまり、方程式とは変数xのとる値に制限を与える式である。変数のとる値とか関数の形に制限を与えるのが方程式である。ある関数fの微分f'にある制限を与え、そのような関数fは何ですか?というのを微分方程式という。微分f'の方程式だから微分という修飾語を付けて微分方程式と呼んでいるだけだ。積分方程式というのもある。

最後は、定義式。
加速度αは速度の微分である、などの式。
α=dv/dt
これは、左辺のαを、右辺で定義しますよ、という式。

物理・数学系の本を読んでいると、とにかく数式がたくさん出てくる。
そのとき、この数式は恒等式なのかな、方程式なのかな、定義式なのかな、と自問自答し本のなかで迷子にならないようにするのが大切。こういう読み方は、なぜか誰も教えてくれない。
勉強したての学生も経験積んだ研究者もやってることは同じ。自然のごく一部しか知らない人類にとっては、学生も高名な学者も微差にすぎない。

理科離れとかバイオ系の高い人気とかの現代だけど、鳥肌立つほど興奮する物理・数学系に、また若い人たちが来てくれればいいなあと思う。

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